1984年といえば僕が23歳の頃。闇のど真ん中に居た頃だ。
いつものようにFMラジオを掛けながら昼寝をしていた。
あれはたぶん夕方だろうか。
素晴らしいメロディーとともに目覚めた。初めて聞く曲だった。正に珠玉の名曲という感じだった、曲が終わった後、ラジオのパーソナリティーがスティーヴィー・ワンダーの新曲だとコメントした。
僕はその曲が気になった。もう一度聴きたくて仕方なかった。
その数日後かいつか忘れたが、またラジオから流れた。しかし今度はまったく響かなかった。どこがいいのかさっぱりわからなかった。
メロディーに対して神経過敏になっていた僕は、音楽が掛かると意識しすぎて構えてしまった。そしてメロディーを素直に受け取ることができなかった。しかし眠っていたときは無防備だったから、メロディーが素直に入ってきたのだ。
その後も「I Just Called To Say I Love You」を、あの珠玉の名曲として再び感じた事は一度も無かった。